歯周病菌による症状(顎の歯槽骨炎)を改善する原因への有効な対策と治療方法

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歯周病(顎の歯槽骨炎)

歯周病(顎の歯槽骨炎)に対する医療体制は貧弱なので、自衛の対策が重要!

 歯周病(顎の歯槽骨炎)は、使い捨てや滅菌処理が徹底していない歯の治療の後に、嫌気性細菌が活性化する環境になって悪化することもあります。

歯周病(顎の歯槽骨炎)の原因

歯周病(顎の歯槽骨炎)が全く無い人は少ない

 死んだ歯髄への細菌感染(感染根管)で、口腔内の組織が腐って発生する悪臭が口臭の原因にもなります。
 細菌や歯髄壊疽などによって生じた毒素が、歯根の先の穴から周りの組織に浸透して炎症を起こすと、強い痛みを感じます。
 炎症が長引くと、歯槽骨が破壊された後に、空気中の酸素が苦手な嫌気性の細菌の病巣が固定されると、急性の炎症が落ち着くため、強い痛みはなくなります。
 しかし、それ以降は、歯槽骨内に潜んだ嫌気性の細菌の病巣から、細菌や細菌が産生する毒素が、血液循環やリンパ循環を通じて運ばれてしまうことになります。
 そのため、他の臓器や関節や神経に、細菌感染や毒素に反応した炎症を継続的・断続的に引き起こします。
 歯性病巣感染のうち、口腔の顎骨骨髄にまで病巣が広がったことが明確に診断された状態が、顎骨骨髄炎です。
 歯科医院で、感染根管処置(歯の治療)を受け、感染根管に蓋(歯に被せ)をして嫌気性細菌が潜みやすい口腔環境にしている人は、歯性病巣感染があると言えます。
 大半の人が、ヘルペスのように、歯性病巣感染を起こす嫌気性の細菌病巣を持っています。

歯周病(顎の歯槽骨炎→過敏症・難病体質)の治療

 経絡では、大腸経・小腸経の他、胃経などの元気も大きく関係しています。
 秋〜冬の時期に体の症状(関節の痛み、神経痛、浮腫など)で出ることが多いです。
 特に口腔内の乾燥、寒さ、ストレス、疲労、心労、感染症の病後などで、嫌気性(酸素を嫌う)細菌の活動が活発になると悪化することが多いです。
 ですから、顎を元気にし、酸素摂取能力をあげ、唾液を出やすくする治療で対応します。
 口腔内の清掃、ていねいな歯磨き、顎の血流を良くするために男性にもフェイシャルマッサージをアドバイスしています。
 甘い食べ物や、甘い飲み物は、口腔内の環境を悪化させるため、骨髄炎を起こす細菌の活動を活発にしてしまいます。自制してください。
 DS元気HSPも活用してください。

歯周病(顎の歯槽骨炎)のQ&A

細菌に対抗する方法は?

歯痛で歯医者に行ったら、レントゲン検査で異常が無いと言われたのですが?

 モニターで確認するレントゲン画像では、歯槽骨の情報をカットしています。
 そのため、歯の奥(歯根膜より奥の歯槽骨の部分)に潜む細菌のみで痛みが生じている場合は、歯には異常が無いということで、炎症を放置されて多くの悲劇を生んでいます。

キャビテーション問題に理解があって、口腔外科の技術・知識のある先生・病院を教えてもらえませんか?

 残念ながら、キャビテーション問題に理解があって、口腔外科の技術・知識のある先生や病院を教えられる立場ではありません。なぜなら、口腔の問題を完璧に解決できるドクターに出会っていないからです。
 どこかで、治療に落胆し、やり直し、妥協して現状を受け入れる、そんな状態です。
 管理人は感覚の敏感な鍼灸師ですので、健康状態にただちに影響を及ぼす程度に口腔内に問題があるかどうかは、大迎というツボの反応でも感知することが可能です。
 それで異常を感知している状態でも、ある程度のレベルまで治療したら、そこから先は問題なしと診断される歯科医師ばかりです。
 口腔の問題箇所を見落とさずに解決することの難しさは承知していますから、それほど歯科医師に無理強いもできません。
 口腔の状態の悪さが自己治癒力のレベルを超えてしまっていたら、自分で治療することは不可能ですので、ご自身で、納得できる歯科医師を見つける努力をされるよう、切に願います。

歯周病(顎の歯槽骨炎)を起こさせないために、細菌を除去する根管治療を

歯の根管内(神経のあった所)をきれいにする器具を使っての根管治療時に重視するポイント

矯正治療では、歯並び・噛み合わせ・発音などを考えた治療になります

 しかし、治療後、後遺症が出てくることがあります。
 それは、矯正治療の期間を短くするために、噛み合わせに必要な歯を抜歯して治療を行うからです。
 抜歯すれば、短期間で歯並びはきれいになりますが、噛み合わせに問題が生じてきます。
 治療後に、噛み合わせで問題が生じない診断が必要です。診断を十分に行い、矯正治療後に問題が生じない治療が重要です。

歯周病菌で悪化する難病や癌などの症状

指定難病や癌と口腔細菌の関係

 口腔細菌が原因で難病を引き起こしている現状の研究は遅れており、因果関係が判明しているのは一部だけで、これから研究が進んでいく分野です。
 細菌が嫌気性なので酸素が少ない体内の深い部位の方が生存に適しているため、血管を通して全身に広がり、さまざまな組織に歯周病菌が寄生することでも、難病を引き起こしています。

その他の歯周病菌で悪化する症状

歯周病菌の特徴

歯周病菌と体の抵抗力のバランスが崩れた時に、歯周病を発症します

歯周病菌の内科的除菌治療

 歯周病は細菌の感染症です。
 歯周病菌は、肺炎、血管の病気、心臓病、糖尿病、低体重児出産へも影響します。
 口の中に巣食う歯周病菌を除菌することが重要です。
 むやみに歯を抜いたり、歯ぐきを切ったりせず、歯の寿命を延ばすことが最大の目標です。
 歯周病治療と言えば、歯磨き指導と歯石を除去したりする歯の周りの掃除が、歯科医院の基本的治療です。
 基本的治療をしても、一生懸命に歯磨きをしても、なかなか歯肉の炎症がとれず、歯肉の腫れや出血・口臭で悩む人が多いのが現状です。
 歯科治療は歴史的に見て、外科的な処置が中心で、内科的な治療が遅れる風潮がありました。
 歯周病が感染症である事が解明され、その原因の細菌が分かってきている今、その原因菌を除菌する内科的治療で、歯周病が治るのは自然なことです。
 歯周病菌の検査で一番正確な検査は、リアルタイムPCR法による遺伝子検査で、歯周病菌の種類と量を測定することができます。

歯周病治療のメリット

歯周病を引き起こす嫌気性のグラム陰性菌

 歯周病は、嫌気性のグラム陰性菌によって引き起こされます。
 歯周病菌は歯の周囲に付着しているバイオフィルム(デンタルプラーク)の中にいます。バイオフィルム(デンタルプラーク)とは、歯の表面を爪や爪楊枝でこすった時についてくる白いカスの様な物質で、細菌の塊です。
 嫌気性のグラム陰性菌の中には、歯槽骨(歯を支える顎の骨)を溶かすことで、歯茎の炎症を引き起こす歯周病菌もいます。
 嫌気性菌は、増殖に酸素を必要としない細菌で、歯周ポケットの中などに棲息します。
 嫌気性菌は、酸素にさらされると死滅してしまう編成嫌気性菌と、酸素がある中でも生存可能な通性嫌気性菌がいます。

グラム陰性菌の外膜

 脂質部位が内毒素として機能する複雑なリポ多糖類 (LPS) により構成されています。
 循環系に内毒素が侵入した場合、発熱、呼吸促拍、低血圧を引き起こし、エンドトキシンショックを引き起こすと、死亡することがあります。
 リポ多糖類 (LPS)は、サイトカイン産生による炎症、免疫系の活性化による先天性免疫反応を引き起こし、有害です。
 細胞壁の内膜(ペプチドグリカン)に作用する抗生物質、色素、洗剤から細菌を保護しているため、リゾチームやペニシリンに対して抵抗性を持っています。
 グラム陰性菌の外膜には、EDTAを伴うリゾチーム、アンピシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、ナリジクス酸などで対抗します。

レッド・コンプレックス:難病の原因にもなる危険な3菌種の歯周病菌

レッド・コンプレックスとは、難病の原因にもなる危険な3種類の歯周病菌群

 口腔内の常在細菌は700種以上で、歯周病に関連が深い順にクラス分けされています。
 3種類の細菌は、歯周病を重症化させる『3大歯周病菌』です。
 歯科領域では口腔内の常在細菌を、歯周病の原因と関連の深い順にピラミッドとして模式図化して表しています。
 レッド・コンプレックスは頂点に位置する菌種群で、その下層にオレンジ・コンプレックス、最下層にブルー、パープル、グリーン、イエロー・コンプレックスの常在菌群が配置されています。
 歯周病には多くの菌種がかかわると考えられており、研究により各菌種の作用が少しずつ明らかになっています。

メンブレントラフィックを利用する歯周細胞と歯周病菌

 メンブレントラフィックとは、細胞内の物質輸送ネットワークで、細胞内外への物質輸送により自然免疫機能(マクロファージによる細菌貪食など)を発揮します。
 メンブレントラフィックを利用して、歯周細胞は侵入した細菌を分解していますが、歯周病菌は細胞への侵入と細胞からの脱出をしています。

オートファジーにも抵抗する歯周病菌

 オートファジーとは、細胞が持っている細胞内のタンパク質を分解する仕組みの一つで、"自食"ともよばれています。
 オートファジーで、細胞質の小器官やタンパク質を少しづつ分解し、細胞内の新陳代謝を促したり、異常なタンパク質の蓄積を防いだり、飢餓時には自己成分を分解して生存に最低限必要な栄養源を作り出したりします。
 非貪食細胞内に侵入した細菌を排除・殺菌する宿主細胞の防御機構は、エンドサイトーシスのみで、これを突破して細胞質に逃れた菌は殺せないとされていたのは古い話です。
 歯周細胞には、オートファジーで、細胞質に逃れた細胞内病原菌を捕獲・分解する生体防御機能がありますが、オートファジーにも抵抗性を示す歯周病菌は、細胞内外を行き来できる能力も兼ね備えています。

ポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis):唾液を介して感染し全身性疾患の原因にもなる歯周病菌

 黒色色素産生性バクテロイデス属、偏性嫌気性、グラム陰性、非芽胞産生性、非運動性桿菌で、血液のある所で増殖し黒色のコロニーを作ります。
 歯肉溝に生息し、他の歯周病菌とくっついて、ネバネバとした細菌の塊であるバイオフィルムを形成し、強力に歯茎の周りの組織に付着・破壊します。
 思春期以降に唾液から感染すると推測されていますが、歯周病でない口腔からも検出されているため、常在細菌かもしれないという説もあります。
 この菌だけだと、細々と弱々しく生きていて、体に害を与えることもあまりありません。
 口の中が不潔になり、ミュータンス菌が歯に付着し始めると、細菌は住みやすい環境を作るため細菌同盟を結び歯に強固に付着してきます。
 ある量に達すると、歯に接している歯肉に炎症が起こり、歯肉の内面に潰瘍が形成され、血が出るようになると状況は一変します。
 吸血鬼のように血液をエネルギー源にして数百倍から数万倍に、急増します。歯ブラシ時に出血がある場合はこの細菌が増えている可能性があります。
 内毒素により歯槽骨(歯を支えている顎の骨)を溶かし、歯周ポケットという歯と歯肉の間の溝をどんどん深くしていきます。
 その溝が4mm以上になると、溝の奥の酸素が減るため、ますます元気になり増殖します。
 一度感染すると、メンブレントラフィックによって歯肉上皮細胞に侵入して細胞内で生息するため、口腔内から除去することは不可能です。
 18歳以降に感染することが多く、親しい人、食べ物の直下箸、ペットなどから、唾液を介して入り込んできます。
 歯周病の人とキスをすると感染します。夫婦間でも感染するので、性感染症の一つとみなす考え方もあります。
 顎の骨を溶かして歯をグラつかせたり、歯周病独特の悪臭の元となる内毒素を出したり、タンパク分解酵素で白血球の働きに抵抗します。
 宿主の細胞内でオートファジーによる分解を受けずに細胞外に脱出して、一つの細胞にとどまることなく次から次へと侵入細胞を替え、細胞内感染拡大を果たしていきます。

 C5aとTLR2とのクロストークをひき起こすことにより、MyD88のユビキチン化による分解をひき起こし、潜在的な殺菌能を不活性化させます。
 また、C5a受容体-TLR2-PI3キナーゼ・シグナル伝達経路を活性化することにより、好中球の食作用を抑制し、炎症反応を制御して軽微な炎症をひき起こします。
 歯周病以外の全身性疾患の原因にもなるため、動脈硬化の病変部位でも検出されています。
 ジンジパインと呼ばれる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)を2種類産生することで組織を破壊し、細菌の内毒素であるリポ多糖体(LPS)で骨吸収を引き起こし、血液中では炎症性サイトカインの産生を促進します。
 糖質ではなく、アミノ酸やタンパク質を代謝し、その際に生じる有機酸などが歯周病に特有な口臭のひとつの原因となります。
 栄養源を主にジペプチドの形で取り込んでおり、生存にはジペプチジルペプチダーゼの働きが必要です。
 シトルリン化を起こす酵素を産生する特殊な細菌です。
 傷害される細胞には個体差があり、歯周病のかかりやすさは細胞小器官の個体差と言えます。

トレポネーマ・デンティコーラ菌(Treponema denticola):歯周病を悪化させるスピロヘータの歯周病菌

 スピロヘータ(ラセン菌)は、長くて細いグラム陰性嫌気性菌で、ぐにょぐにょ動きまわります。
 歯周病の歯周ポケット内部(歯肉縁下プラーク)の歯垢を顕微鏡で見ると、スピロヘータ(ラセン菌)が動きまわっているのが見え、歯周病がひどいと、ハエの大群が飛び回っているように見え、かなり気持ち悪いです。
 歯周病の活動度や重症度と関連し、免疫抑制作用に関わっているので、スピロヘータ(ラセン菌)の割合が高いと歯周病が再発しやすいです。
 人の腸管や泌尿・生殖器表面からも見つかる感染症の原因となるスピロヘータ(ラセン菌)で、歯茎の細胞の隙間から、組織内に入り込み、血管内に侵入します。
 吸血鬼のように血液をエネルギー源にしています。歯ブラシ時に出血がある場合はこの細菌が増えている可能性があります。
 細胞と細胞の間を自由に出入りする運動能力で血管の中にも入り込んで増殖するため、心臓冠状動脈疾患部や動脈瘤からも検出されることがあります。
 タンパク分解酵素によって組織を破壊し、免疫機能を抑える事で、治癒を妨げます。
 免疫応答の撹乱を介した防御からの回避による炎症の慢性化で細胞を傷害します。
 口腔内のマイクロバイオーム(細菌叢)で腸内菌共生バランス失調(dysbiosis)を引き起こすことでポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)を増殖させて、歯周病を悪化させます。

タンネレラ・フォーサイセンシス菌(Tannerella forsythensis):治療が難しい歯周病で検出されることが多い歯周病菌

 旧名は、バクテロイデス・フォーサイス菌(Bacteroides forsythus)。
 グラム陰性、非運動性、嫌気性の桿菌です。
 通常の治療では治らない歯周病、歯茎の破壊が強い部分、深部での活動性が高い病巣などで検出されることが多いです。
 この細菌は、歯周組織破壊の激しい深在性で活動性の歯周病の病巣部位に多いため、治療が難しい歯周病であるかどうかの指標としても重要です。
 内毒素を持ち、トリプシン様酵素を産生し、タンパク分解酵素を産生します。

歯周病菌は他にも

アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans):歯槽骨を急速に破壊していく侵襲性歯周炎を引き起こす歯周病菌

 旧名は、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans)。
 子供の頃に親から子へ感染しやすく、10代20代で発症すると、若年性歯周炎と呼ばれます。
 歯ぐきの周りの組織内部に侵入し、顎の歯槽骨を急速に破壊していく侵襲性歯周炎を引き起こし、急速に歯周病を悪化させます。
 白血球の働きを低下させ、内毒素や身体の免疫反応の際に働く細胞である「好中球」を破壊する「ロイコトキシン」という外毒素(細菌が菌体外に産生する毒素)を産生します。
 非運動性、非芽胞産生性、糖分解性、好二酸化炭素性、通性嫌気性、グラム陰性桿菌です。
 病毒性は以下のとおり。

プレボテーラ・インテルメディア菌(Prevotella intermedia):女性ホルモンで増殖して歯周病を悪化させる歯周病菌

 誰の口の中にも存在しています。黒色色素産生性バクテロイデス属の嫌気性グラム陰性桿菌で、外膜と空隙を作った莢膜構造が存在します。
 女性ホルモンで増殖します。卵胞ホルモン(エストロゲン)を栄養源にし、黄体ホルモン(プロゲステロン)で育ちます。
 卵胞ホルモン(エストロゲン)は、歯肉を形作る細胞を標的にする性質を持つため、歯ぐきが腫れやすくなります。
 女性ホルモンの分泌が活発な思春期や妊娠時に、爆発的に増殖することがあります。
 歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす毒素(内毒素)をもちます。
 出血する歯周病を引き起こすため、血液で増殖するポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)トレポネーマ・デンティコーラ菌(Treponema denticola)も増えてしまいます。
 妊娠時には、胎盤から分泌される女性ホルモンは10〜30倍にも急増します。それが血流に入り込んで、歯肉溝液から出てくることで、この細菌が爆発的に増えてしまいます。そのことで他の歯周病菌も爆発的に増えてしまって、歯周病を引き起こすと、妊娠性歯周炎と呼ばれます。
 歯周病菌の内毒素が血液中に入り込むことで胎児の発育を阻害したり、羊水のプロスタグランジンが急激に増えて子宮が収縮し、早産を引き起こすこともあります。
 胎盤から分泌される女性ホルモンは、主に以下の4つです。

フソバクテリウム・ヌクレアタム菌(Fusobacterium nucleatum):難病や癌の原因にもなる歯周病菌

 嫌気性のグラム陰性菌で、歯周病や各種感染症の原因となるほか、潰瘍性大腸炎(指定難病97)や大腸癌や食道癌にも関与します。
 線状の長いグラム陰性嫌気性菌で、歯肉周縁のバイオフィルム(デンタルプラーク)では大きな体積比率で存在しています。
 ヒトの口腔内に常在し、菌の両端が尖って中心部がやや太いことから紡錘菌とも言われます。
 歯周病原性菌の1つで、他の細菌と共凝集することにより、歯肉周縁のバイオフィルム(デンタルプラーク)形成の中心的役割を担っています。
 糖分解能が無く、悪臭(口臭)の原因となる酪酸を産生します。
 長いリポ多糖を持つフソバクテリウム属に対して効果のある抗生物質は、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、カルベニシリン、セフォペラゾンで、次いでセファマンドールも効果があります。

プレボテーラ・ニグレセンス菌(Prevotella nigrescens):アテローム性頚動脈硬化症(carothid atherosclerosis)の原因にもなる歯周病菌

 嫌気性のグラム陰性菌で、この細菌が定着すると、免疫系からの過度の反応を引き起こして、病気や感染が発生する確率を増加させます。
 正常な口腔細菌叢の一部ですが、それが局所組織に感染すると病気になる細菌の1つで、口腔や膣の細菌叢の一部として定着します。
 頸部周辺に侵入して定着とすると、改善しにくい首の凝りや頸肩腕症候群や胸郭出口症候群の原因にもなります。
 アテローム性頚動脈硬化症(carothid atherosclerosis)の原因にもなる歯周病菌です。

カプノサイトファーガ・オクラセア菌(Capnocytophaga ochracea):子宮内膜症の原因にもなる歯周病菌

 グラム陰性菌で、二酸化炭素の存在下で成長します。
 年少者の歯肉膿瘍や成人の歯周病に関係し、深刻な感染症を引き起こす事もあります。
 子宮内膜症の他、心内膜炎、骨髄炎、膿瘍、腹膜炎、角膜炎の原因にもなります。

カプノサイトファーガ・カニモルサス菌(Capnocytophaga canimorsus):イヌやネコに噛まれた後などに致死的な敗血症を起こすこともある歯周病菌

 グラム陰性菌で、二酸化炭素の存在下で成長します。
 人獣共通感染症の病原体で、イヌやネコの健康な歯肉の細菌叢の構成細菌です。
 動物との過度のふれあいは避け、動物と触れあった後は手洗いなどを確実に実行することが、厚生労働省により推奨されています。
 イヌやネコなどによる咬傷・掻傷から感染し、発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などの症状を伴います。
 重症例では劇症の敗血症や髄膜炎を引き起こし、播種性血管内凝固症候群(DIC)や、敗血性ショック、多臓器不全に進行して死に至る事があります。
 脾臓摘出者がかかり易く、免疫機能の低下(アルコール中毒、糖尿病などの慢性疾患、免疫異常疾患、悪性腫瘍にかかっている方、高齢者など)が重症化に繋がりやすいです。
 飼い犬に足をなめられた男性が発症し、血行障害や血圧の低下により両手両脚の切断手術を余儀なくされた例もあります。

関節リウマチは、複数の歯周病菌が原因

 関節リウマチを発症している人の血清や滑液から、血液で増殖するポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)タンネレラ・フォーサイセンシス菌(Tannerella forsythensis)や女性ホルモンで増殖するプレボテーラ・インテルメディア菌(Prevotella intermedia)の抗体が確認されています。
 嫌気性細菌による感染症の治療に用いられるオルニダゾール、レボフロキサシン、クラリスロマイシンなどの抗生物質は 関節リウマチに対して有効なことも確認されています。

歯周病菌を守るカンジダ菌にも要注意

 カンジダ菌は歯周病の直接的な原因になるわけではなく、歯周病菌の住み家になり、歯周病菌を守っています。
 カンジダ菌があると、薬用成分も歯周病菌に届きにくくなるからです。
 カンジダ菌は歯磨き粉に含まれている薬用成分では死にません。特殊なカビ除菌用の薬が必要になります。
 カンジダ菌感染は、抗生剤の服用を何度も繰り返した人に多いです。歯の治療で抗生剤を浸透させるため、プロピレングリコールを使うこともあります。
 カンジダ菌感染は、パンなどの小麦を使った食品や甘い物が好きで毎日よく食べる人、食事制限によるダイエットを繰り返している人、重病で体力や免疫力が低下している人、避妊用のピルを常用している人にも多く見られます。
 カンジダ菌感染だったら、普通の抗生剤は薬になるどころか、かえって病気を進行させかねません。抗生剤を飲むと、カンジダの症状が出てくる人もいます。注意が必要です。

カンジダ菌の感染の症状

顎骨骨髄炎と病院で診断された時の症状

顎骨骨髄炎とは、骨髄の炎症で、同時に骨質および骨膜も侵される難治性の病気

 顎骨骨髄炎では、歯の奥の痛み、顎の腫れ・痛み、うみが出る、抜歯など歯科治療後に腫れや痛みが続くなどの症状があります。
 ひどくなると、原因となる歯の周囲の歯茎が広い範囲で発赤し、腫れがひどく、歯がグラグラしたりします。
 歯茎から膿が出るようになります。
 歯、歯周、歯槽骨の深部に激痛が起こり、やがて近くの数歯にわたって歯がグラグラしたり、歯を叩くと痛みがあります。
 腫れている側の下口唇に知覚異常が現れます。
 骨髄の中で病変がどんどん悪くなり、それに伴って痛みの範囲も広くなります。
 急性症状では、悪寒を伴う高い発熱、食欲不振、全身の倦怠感があります。
 顎の近くでは症状が出ず、潜伏して時に難病の要因になりながら、慢性化しているのが大半です。

顎骨骨髄炎の検査と診断

 X線検査(CT撮影)、MRI検査、血液検査(白血球の数や種類、赤沈)など。骨に異常のある時は、癌などの腫瘍性病変との区別が必要です。

顎骨骨髄炎の治療の方法

 発熱による全身的な消耗が強ければ、安静にして、対症療法です。
 抗菌薬の点滴静脈注射だけでなく、骨髄の病変部を抗菌薬を含んだ液で洗い流す治療が必要です。
 炎症を起こしている部分の骨を表層より削りとったり骨の切除などの手術や高圧酸素療法を併用する場合も。
 慢性化して再発を繰り返すことが多いので、急性期が過ぎたら、原因となっている歯を抜歯し、腐った骨を除去します。
 顎骨骨髄炎の予後は、あまり良くなく、全身症状を伴い、長い経過をたどるので、早めに口腔外科や歯科口腔外科を受診してください。

顎骨骨髄炎と薬の副作用

顎骨骨髄炎は歯の治療で起こることも

 骨粗鬆症などで処方されるBP系薬剤(ビスホスホネート製剤)の副作用で起こる顎骨骨髄炎は、抜歯などの侵襲的歯科処置や局所感染に関連して発現することが多く、抜歯した場合にはその部位の付近で発現しています。
 BP系薬剤を投与されている場合は、歯の治療を受けていなくても、顎のしびれ・腫れ・痛み等の異常があれば、医師に相談してください。
 異常が無くても、お口の中を清潔に保つ事が重要です。
 侵襲的な歯科処置のリスクを考慮して、口腔内を清潔に保ち、歯科または口腔外科で治療を受ける場合は、医師に必ず相談してください。

BP系薬剤の経口剤は、骨粗鬆症の治療に使われることが多く、よくある副作用は、消化器症状

ボナロン、フォサマックアレンドロン酸ナトリウム水和物
ベネット、アクトネルリセドロン酸ナトリウム水和物
ダイドロネルエチドロン酸二ナトリウム

BP系薬剤による顎骨骨髄炎を予防するため、口腔清掃の徹底を

 顎骨骨髄炎は、重金属・リン・放射線への曝露、凝血障害、循環器系障害、慢性的な免疫抑制状態の人などで報告例があったため、放射線骨壊死として報告されてきました。
 顎骨骨髄炎のリスク因子として、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、侵襲的歯科処置(抜歯、インプラントなど)が考えられています。
 BP系薬剤を骨粗鬆症の治療などで処方される場合は、歯の治療状況を確認するためにも、必要に応じて歯科医・歯科口腔外科医とも相談してください。
 マクロライド系抗菌薬で改善しなかった、びまん性硬化性下顎骨骨髄炎に、BP系薬剤パミドロネート(アレディア)を経静脈的に投与し疼痛が消失した例は不思議です。神戸大学病院の歯科口腔外科での診察も考慮してください。

提供:おかだうえ鍼灸治療院